七海ひろき氏出演、累計50万再生の大反響!
『夢の雫、黄金の鳥籠』TVCM
制作秘話Vol.1 監督・吉開菜央インタビュー
7月8日(水)より公開中の『夢の雫、黄金(きん)の鳥籠』最新14巻TVCM・PVが累計50万再生(※)を超える大反響だ。『闇のパープル・アイ』『天(そら)は赤い河のほとり』はじめヒット作を多数もつ漫画家・篠原千絵氏の最新作『夢の雫~』は、16世紀トルコ・オスマン帝国を舞台にした宮廷ロマンサーガ。元宝塚歌劇団星組・人気男役スターの七海ひろき氏が、作中の重要人物スレイマン1世、その妃ヒュッレム、宰相イブラヒムの三役を演じて作品を表現した美しい映像はどのように生み出されたのか。監督として動画制作に携わった映像クリエイター・吉開菜央氏に話を聞いた。
(※)YouTube、SNS公開中のTVCM・ロングバージョンPV累計再生回数(2020年7月末時点)
【プロフィール】吉開菜央(よしがいなお)
1987年山口県生まれ。日本女子体育大学舞踊学専攻卒業、東京藝術大学大学院映像研究科修了。作品は、国内外の映画祭での上映をはじめ、展覧会でもインスタレーション展示されている。ミュージックビデオの監督や、振付、出演も行う。監督した主な映画は『Grand Bouquet』(カンヌ国際映画祭監督週間2019正式招待)『ほったまるびより』。米津玄師MV「Lemon」出演・振付。東京造形大学非常勤講師。
――『夢の雫、黄金の鳥籠』という作品を七海ひろきさんのお一人三役で表現する今回の企画、オファーがあった際どのように思われましたか?
吉開菜央氏(以下敬称略):TVCMを作ることも、原作があってそれを映像化することも、また人間の感情が渦巻く内容の映像を作ることも全部が自分にとっては初めてだったので、新しいチャレンジでいっぱいだなと思いました。すごく面白そうだな、と。
――作品にはさまざまな人間ドラマが登場します。読まれてみてどういう感想を持たれましたか?
吉開:最初に漫画を読んだときは、ヒュッレムが印象に残りました。絶対に力を持ちようがない、弱い立場から彼女の物語はスタートしているんですよね。奴隷の身で、知らない国に来て、言葉もよくわからない。しかも女性の方が男性より立場が弱い時代で。そんなヒュッレムが強くなっていく様子に、ぐいぐい惹きつけられましたね。
――作品の象徴的存在であるスレイマンを中心に映像を作るアイデアは、企画の初期から決まっていたそうですが、スレイマンについてはいかがでしょう?なぜ「信頼できるのはお前だけだ」というシーンを映像に取り入れようと思われたのでしょうか?
吉開:スレイマンは、初めは「王様だな」というそのままの印象でしたが、映像としてどう表現しようか考えながら何度も読んでいるうちに、彼の掴みどころがないところが面白くなってきました。この人は本当に人間なのかな、並の人間にはとても到達できない精神力だぞと思って。
あのシーンを選んだのは、自分が読んでみて一番ドキッとしたシーンだからというのもあります。ハマム(編注:トルコ式の浴場)でマッサージというシチュエーションからまずビックリして、「これは・・・!」と思ったらやっぱりスレイマンがイブラヒムを抱き寄せて・・・(笑)。
でもあの台詞は、後から読み返しても三人の関係をすごくよく表していると思ったんです。
――今回の映像はムービー撮影ではなく、写真をつなげて動画として見せるアニメーションの手法を採られていますね。
吉開:写真は1枚ずつが止まっていて漫画のコマのようなので、作中のコマと組み合わせた映像にしたら合うのでは・・・とみんなで話し合って出たアイデアです。普通、動画は動いているから視線が吸い寄せられるものですが、この表現だとひとつずつのコマが止まっているので、だからこそ描かれていない部分を見ている人が補完して想像をかきたてられる。さらにカメラマンのトキさん(編注:今回の撮影を担当した写真家)の素敵な世界観と合わさったら、『夢の雫~』という作品を表現するのにぴったりなんじゃないかなと思いましたね。
――撮影はいかがでしたか?
吉開:すごく楽しかったです!カメラテストやVTRコンテ(編注:映像によるコンテ。通常の画コンテより具体的に仕上がりがイメージできる)などしっかり準備して撮影当日を迎えましたが、トキさんがその時々の感覚を大事にして撮ってくれたのと、七海さんが演じられる様子が本当になんというか「完成」されていたので、七海さんに引っ張られてみんなにどんどん「化学反応」が起きていましたね。
――三役それぞれの七海さんの印象はいかがでしたでしょう?
吉開:三役とも素晴らしかったです。イブラヒムは普段のお姿に一番近いビジュアルで格好良いなと思ったのですが、羽根で弄ばれるシーンは、普段の七海さんの凜々しいイメージと異なっていて、演出できてとても楽しかったですね。ヒュッレムは、ドレスに着替えられたときの少し恥ずかしそうなご様子がとても可愛くて、それがヒュッレムの心情とすごく合っていたと思います。
でもやっぱり、映像を編集しているときも何度も思いましたが、スレイマンが一番お似合いだったと思います!圧倒的に!! 一番似合うのが「皇帝」だなんて、そんな人、普通います?(笑) しかも篠原先生が描かれる世界の「スレイマンさま」の実物になれるなんて、日本中、いや世界中で七海さんしかいらっしゃらないんじゃないですか!?
撮影当日、スレイマンのパートを撮り終えた後、七海さんが役になりきって「皆の者、大義であった」とおっしゃった楽しい場面があったのですが、ごく自然に「ありがたい!」って思っちゃいましたね(笑)。みんな「ははーっ!」って(笑)。
――そんなカリスマあふれる「スレイマンさま」を中心に今回の映像は作られていますが、ロングバージョンPVでは中盤、ヒュッレムの視点になり、イブラヒムとのキスシーンに引き込まれます。
吉開:イブラヒムとヒュッレムのキスシーンは撮影でいろんなバリエーションに挑戦したので、映像を見た人に一番ドキドキしてもらうにはどう編集したらいいかなと考えたんです。もっとわかりやすく人物を紹介してキスシーンに移ることもできましたが、ヒュッレムの主観で画面を見るように編集してみたらめちゃくちゃグッときて。「これは自分がヒュッレムになりながらキスをすればいいんだ!」と思ったので、ロングバージョンはヒュッレムとイブラヒムのキスシーンを軸に編集していきましたね。
スレイマンの「顎クイ」から始まる一連のシーン、スレイマンは上から見下ろしていて、ヒュッレムは下から見上げる構図ですが、目線の先、彼女と同じ目の高さにいる人はイブラヒムなんです。ヒュッレムが心の中で、スレイマンをイブラヒムに置き換えてしまっているようにも見えて、とても気に入っているシーンです。
――キスシーンでは実写パートのイブラヒムとヒュッレムの顔がどんどん近づいていき、最後に漫画の絵に切り替わる演出がドラマチックでした。
吉開:あの月の夜の絵は、漫画の中でとても大切なシーンですよね。作中で何度もリフレインされていますし、自分の中にもとても印象深く残っていました。実写と漫画が融合することで、実写の世界を超えて映像が迫ってくるような手応えがありました。この演出ならではだと思います。
――改めて完成した映像をご覧になっていかがですか?
吉開:自分としても新境地というか、新しい発見がたくさんある企画でした。時代ものなのに背景が何もなく、画面もほぼ全編が人物の表情のアップです。でも表情や目線のほんの小さな変化で、こんなに情感豊かに表現できるんだと思った場面がいくつもあって、とても楽しかったです。
公開後たくさんご感想をいただいていて、そういったみなさんの反応もとても嬉しかったですね。見ていただいてありがとうございました!
※Vol.2写真家・トキ氏へのインタビューは8月上旬公開予定です。
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