鈴の音
- 内容紹介
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1962年に貸本出版社のやなぎプロから刊行されたA5版単行本の完全復刻版です。「長編時代奇談」と題された本作は、作者が貸本衰退期に、当時絶大な人気を誇った小島剛夕ふうの男女を主人公として描いた「時代ロマン」シリーズに連なる一編で、前回刊行された「火星年代記」とほぼ同時期の作品です。テーマ、画調ともに著者特有の怪奇色が横溢し、時代ミステリーのかたちをとった水木ワールドが全開の傑作となっています。
主人公お花の父、頼母は琉球征伐の総大将として首里城攻めに功をなしたが、以来、鈴の音に脅え続けています。その正体は冥界からの使者なのか、それとも…。著者独自の民俗的なアイデアも取り入れた会心作です。